ここイングランド北部は7月になると毎年雨の日が多くなります。
雨季とまでは言えませんが、天気予報で2週間雨マークなんていうのも珍しくありません。
2020年の2月に、イングランド南部で暴風雨「アキラ」により深刻な洪水被害のニュースがありましたが、数年前に私の住んでいる北部でも洪水被害があったことを思い出しました。
2020年2月の暴風「アキラ」の被害の様子(BBC Japanese)
この記事は
- 数年前の洪水被害での避難所の様子が衝撃的だったこと
- 空港で避難したときの経験談
- 海外旅行で災害に遭ったときに役立つもの
- 身近なイギリスの防災意識
などの内容となっています。
イギリスで家の近くが洪水被害に
数年前の豪雨で近くの川の水が溢れだし、周辺の建物が浸水する被害がありました。
私も川からほど近い場所に住んでいるのですが、高台になっているので幸い被害はありませんでした。
しかし川の近くの民家、学校、スーパー、パブなどは1階部分の半分近くまで浸水するという被害がでました。
川の橋は流され、学校は2週間休校、橋が元通りになるまでの1年間は川の反対側に住む生徒たちはスクールバスが用意され、大回りして遠くの橋を渡っての通学となりました。
雨の多いイギリスですが、実はほとんどは小雨。
年間降水量は東京の方がよっぽど多いのです。
ここでは一日中バシャバシャと雨が降り続くことは滅多にありません。
しかしこの数年前の豪雨では大雨が続き、あっという間に周辺が水浸しになってしまいました。
地域の避難所の様子
高台に住んでいるとはいえ、いつ自分の家にも被害がくるかわからずとても心配で、普段用意していた防災バッグの中を点検し、いつでも避難できる準備をしていました。
そんな時、ふとテレビのニュースで自分の地域の水害の様子が映っており、近所にある教会のホールに避難所が設けられていることを知りました。
そしてその避難所の中の様子も見ることができたのです。
そこに映っていたのはなんと、テーブルと椅子が並べられ、紅茶とビスケットを囲んで楽しそうに談笑するおじいちゃん、おばあちゃんたちでした。
防災バッグなんて持っている様子は全くなく、ご近所さんの集いにしか見えません(^^;
避難所では、床にシートを敷いて寝転がっていたり、家族でくっついてじっと座っていると思い込んでい私にはかなりの衝撃的な光景。
でも和やかな雰囲気にほっとしました。
寝るときはどうするのかなと心配していたのですが、寝る時間までには老人施設や老人用アパートの空室が用意され、そこへ送ってくれたそうです。
基本的には、避難する人は老夫婦などだけで、子供がいる家族が避難している様子はありませんでした。
イギリスでは年をとっても同居することはほとんどないので、きっと老夫婦や年配の単身暮らしの方を優先にケアしてくれる体制なのだと思います。
避難所は一時的な待機所
大きな災害がある場合は違うかもしれませんが、特定エリアでの災害の場合は教会などにボランティアの人が集まり、お年寄りの世話を自主的にしているようです。
その後、カウンシルの対応が決まり次第、宿泊できる場所へ移動するという形です。
イギリス人にとって、床に寝るなんてことは考えられないはずなので、特にお年寄りにはベッドのある施設へ移動させることがほとんどのようでした。
自主的に世話をする教会の関係者には頭が下がります。
イギリスの自然災害の少なさ
私は在英14年目となりましたが、身近に起こった災害はこの豪雨の水害1度だけです。
イギリスは日本に比べると本当に自然災害の少ない国だなと実感します。
- 地震は一度もない
- 台風もほとんどない
- 豪雨での被害は1度だけ
1~2年に一度の日本への帰国では、ほんの1か月滞在するだけで、地震が起きたり、台風がきたりと、何も起きないことの方が少ないですよね。
子供が小学生になってからは、帰国はいつも夏休み。
航空チケットを予約してからは、出発日と帰国日に台風が当たりませんようにと毎回ドキドキしながら天気予報に釘付けになります。
イギリスにいたら考えられないようなことが日本では毎年起こっているんですよ。
イギリスは自然災害に弱い
自然災害の少ないイギリスですが、その経験値の少なさからか、ちょっとした自然災害にめっぽう弱いです。
- ちょっとした強風や大雨で停電する確率が高い
- 停電すると翌日まで復旧しないこともある
- 強風や大雨ですぐに電車が止まる
- 大雨で簡単に道路が水浸しになり通行止めになる
これ、「大雨」と書きましたが、日本ではよくある降水量高めの雨のレベル。
豪雨とはいえない普通の「大雨」です。
日本ではなんでもないレベルの天候で、すぐにどこかの管が壊れて大量の水が道路から噴き出してきたり、水はけが悪いために起こる膝くらいまでの浸水はよくあるのです。
そしてあっさりと公共交通機関は止まってしまいます。
本当に自然災害に弱いので、旅行などで長期に滞在するときは簡単な防災グッズがあった方がいいと思います。
イギリスの空港での避難経験
私は過去に1度、イギリスの空港で火災報知器が稼働したため誘導されて避難した経験があります。
そんなに大変な事態ではなかったのですが、とても怖かったので体験談として書いておきます。
イギリスロンドンのヒースロー空港で火災
まだ子供がいなかったとき、一人で日本へ一時帰国していてイギリスに戻ってきたときのこと。
私は北部に住んでいるのでヒースローで乗り換えるのですが、その乗り換えの待ち時間での出来事です。
乗り換え待ちで、椅子に座り携帯を見ていたとき、いきなりターミナル内で警報が鳴り響きました。
数分後に英語での案内があり、その数分後にはあっという間にすべての店がシャッターを下ろし、電気が消えてしまいました。
昼間だったので真っ暗にはならなかったですが、この時が一番怖かった瞬間です。
英語での案内が早口でよく聞き取れなかったため、周りの人の動きに注意しながらとりあえず椅子を確保するためじっとしてました。
10分、20分と経つうちに、通路で人がいっぱいとなり、椅子に座れない人たちは床に座り始め何がどうなったの?という表情。
その時、周りを見渡すと、ターミナル内のパブでビールを飲んでいたであろう人たちは、普通にビール片手に笑顔でおしゃべりしながら立って飲んでいました(^^;
30分以上経過したときに、「火災が起きた場所を特定し、消防が入って点検するまではターミナルが使用できないためとなりのターミナルへ移動してください」という放送があり、そこからぞろぞろみんなのが移動する流れに乗って私も移動しました。
あのビールの人たちは、なんとビールが入ったグラスを持ったまま移動していました…^^
雰囲気的には全く殺気立っておらず、焦りも最小限に抑えられましたが、その数週間前にテロがあったことや、欲張って日本からの荷物をたくさん持っていたため移動するのが一苦労だったこと、そしてトイレに行くと放送が聞こえないんじゃないかという不安が一番大きかったです。
結局、待機していた時間は1時間半くらい。
ターミナル移動後も1時間は飛行機が飛ばず待機でした。
避難中に持ってて良かったもの、持ってなくて不安だったもの
避難中に持ってて良かったと思ったものはこちら
- 携帯電話
- お金(現金)
- お水
- お菓子などの食べ物
- 上着(コート)
この時はまだスマホではなかったのですが、イギリス国内に入っていたので夫と連絡が取れる手段である携帯電話が手元にあったのはとても心強かったです。
そしてお店が締まり、電気も止まってしまうと、頼りになるのは現金ですよね。
もし自動販売機が稼働していたなら、コインがあればお水も買えます。(イギリスの自販機はお札はほとんど使えません)
避難時間がどれだけ長いかわからないので、お腹がすくこともあります。少しでも食べ物があるのはとても安心でした。
ちょうど冬だったこともありますが、機内は寒いのでいつも上着は持ち込んでいました。
寒がりなので、避難中何時間も寒い場所で待機させられたらと思うと恐ろしいです。
持ってなくて不安だったもの
- モバイルバッテリー
- 電子辞書
- インターネット・タブレット等
- 防犯用具
当時はスマホじゃなかったときなので予備の電池という意味ですが、今ならモバイルバッテリーですね。
この電池が切れたらどうしようという不安が一番大きかったです。
電子辞書はスマホがあればアプリに入れておけばいいですね。
放送が聞き取れなかったとき、周りの人に聞いたとしても意味がわからなかったら不安が増します。
こうゆう事態では、普段の生活では使わない分からない単語が出てくるに違いありません。
電子辞書さえあれば、どうにかなると思うので、英語に自信がない人はやっぱり持っておくべきです。
心を落ち着かせるために、インターネットとスマホ、またはタブレット等があれば情報収集もできるし、長時間に及ぶなら気を紛らわすためにゲームや動画も利用できます。
もし旅行でイギリスに来る際には、やっぱりモバイルwifiがあれば絶対に安心です。
空港のネットは遅いし、こんな状況では通信がパンクしてしまって使い物になりません。(普段でも激遅のときがあります)
防犯用具というのは、避難が長時間に及ぶ場合。
もし荷物を横に置いて仮眠することになった場合、寝てる間に何が起こるかわかりません。
服の中に隠すタイプのセキュリティーポーチでパスポートとお金をしっかり守ることや、バッグに鍵をつけてしっかりと防犯対策しているアピールできるものなどがあると気持ち的にも全然違います。
特に一人旅の人は必ず防犯バッグを使ってくださいね。
防災英語(非常時に使える英語フレーズ)
ブリティッシュ・カウンシルより、非常時の際に使える英語フレーズ。
ブリティシュ・カウンシルのウェブサイト(日本語版)では、この動画以外にに「防災英語のフレーズ集」(pdfファイル)のダウンロードも可能です。
イギリスの防災意識
地震がほとんどないイギリスでは、学校でも日本のような避難訓練というものはほとんどありません。
自然災害も少ないし、防災意識はあまりないのかな?と思われがちですが、意外や子供の発表会、カウンシル主催のクラス(英語・料理・パソコン等)、大人・子供ともに習い事の初日などには、必ずしっかりと最初に避難口と避難経路の案内あります。
古い建物が多いのでちょっと気になるところはありますが、防火扉や避難経路は分かりやすい説明が必ずあるのできちんとしているなというイメージはあります。
先日IKEAで買い物をしていたときに警報が鳴ったのですが、お客さんだけでなく、カフェのキッチンで仕事をしている人も全て誘導されて外に出ました。
消防が来てチェックするまでは入店できないという案内の中、誰も声をあらげることもなくほとんどの人がじっと待っていたのが印象的でした。
もし旅行でイギリスに来ていて買い物中に火災などがあった場合にも、きちんとした誘導があるはずなので、英語に自信がある人以外はスマホ・モバイルバッテリー・翻訳や辞書のアプリがあればなんとかなるはずですので、いつも持ち歩くことをおすすめします。
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旅行者が持っておくべき防災・防犯グッズ
私の経験から、旅行者でも必ず持ち歩いておくべき防災・防犯グッズをピックアップしました。
これからイギリスに旅行に来る方はお役立てください。
災害でなくても、困ったときに必要なものばかりです。
パスポート・カード・現金などを肌身離さず持ち歩けるセキュリティーポーチ
モバイルバッテリー
防犯バッグ
ダイヤルロック
翻訳・辞書アプリ
他には、
- 現金(お札とコイン)
- モバイルwifi またはSIMなど、スマホでインターネットが利用できるもの
- 防寒着(冬の場合)
- 持ち歩き用のお水
- 多めの生理用品(女性)
最低、これだけあれば安心ですので、これらをなるべく持ち歩けるよう心掛けてください!
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